【2026年最新】個人事業主・フリーランスのためのファクタリング完全ガイド|少額OK・審査のコツ・活用法

内閣官房の試算によると、日本のフリーランス人口は約462万人(本業214万人・副業248万人)。freeeが2025年11月にフリーランスを対象に実施した調査では、近年の物価高騰で事業や生活に影響があった人は86%、年末年始の資金繰りに悩んだことがある人は約6割にのぼりました。

個人事業主・フリーランスの多くが抱える最大の課題は「売上があるのに手元に現金がない」という状況です。クライアントへの請求から入金まで30〜90日のタイムラグがあり、その間に経費(外注費、ソフトウェア費、広告費、生活費)を自己資金で賄わなければなりません。

銀行融資は法人に比べてハードルが高く、開業1年未満だと審査に通らないケースも珍しくありません。こうした背景から、売掛債権を持つ個人事業主・フリーランスの間でファクタリングの利用が急速に広がっています。

2024年11月には「フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス新法)」が施行され、発注者に対して書面での条件明示や報酬の適正支払いが義務化されました。さらに2026年1月施行の「取適法」で支払サイトが60日以内に短縮されたことで、フリーランスが受け取る売掛債権の回収確実性はこれまで以上に高まり、ファクタリングの利用条件も有利になっています。

八木 健介|中小企業の資金繰りサポーター

都市銀行の法人営業を経て広告メディア会社を創業。銀行員時代の融資審査経験と、卸売業で支払サイト90日の資金繰りに苦労した経営者としての実体験をもとに執筆しています。

本記事では、個人事業主・フリーランスがファクタリングを利用する際に知っておくべき仕組み、審査のポイント、少額対応サービスの比較、具体的な活用シーン、会計処理、悪質業者の見分け方まで網羅的に解説します。

法人を含む業種別の利用率データは「ファクタリングを利用する事業者一覧と利用理由」、各業種の具体的な成功・失敗事例は「【業種別】ファクタリング成功・失敗事例12選」をご覧ください。

  1. 個人事業主がファクタリングを利用できる条件
    1. 必須条件
    2. あると有利な条件
    3. 不要な条件
  2. 少額対応のファクタリングサービス比較
  3. 審査を通すための5つのコツ
    1. コツ1:売掛先の信用力が高い案件を選ぶ
    2. コツ2:請求書の記載を正確にする
    3. コツ3:継続取引の実績を示す
    4. コツ4:申込は午前中に
    5. コツ5:複数社に見積もりを取る
  4. 個人事業主のファクタリング活用シーン5選
    1. シーン1:Webデザイナー ─ 入金60日先の案件
    2. シーン2:動画クリエイター ─ 毎月の立替解消
    3. シーン3:建設系一人親方 ─ 材料費の先行調達
    4. シーン4:コンサルタント ─ 外注リサーチャーへの支払い
    5. シーン5:ECショップオーナー ─ カード債権の早期現金化
  5. 会計処理と税務上の注意
    1. 仕訳例(請求額50万円、手数料10%=5万円の場合)
  6. 注意すべき悪質業者の見分け方
    1. チェック1:「償還請求権あり」は実質融資
    2. チェック2:手数料が30%超
    3. チェック3:契約書を事前に見せない
    4. チェック4:保証金・デポジットの要求
    5. チェック5:運営会社の情報が不明
  7. フリーランス新法・取適法がファクタリングに与える追い風
    1. フリーランス新法の影響
    2. 取適法の影響
  8. ファクタリングと他の資金調達手段の比較
  9. よくある質問(FAQ)
    1. Q. 開業したばかりでも利用できますか?
    2. Q. 副業フリーランスでも使えますか?
    3. Q. 取引先にファクタリング利用がバレますか?
    4. Q. 売掛先が個人の場合は利用できますか?
    5. Q. 毎月ファクタリングを使い続けても大丈夫ですか?
  10. まとめ

個人事業主がファクタリングを利用できる条件

ファクタリングは法人専用のイメージがありますが、個人事業主でも利用可能です。

必須条件

請求書を発行済みの売掛債権があること。これがファクタリングの唯一の「原資」です。まだ請求書を出していない段階(見積書・契約書のみ)では原則として利用できません。

あると有利な条件

売掛先が法人であることが最も重要です。特に上場企業や官公庁が売掛先だと審査通過率が高くなります。継続的な取引実績がある(3回以上の入金履歴)とさらに有利です。確定申告書は1期分でも提出できるとスムーズです。

不要な条件

担保、保証人、法人の決算書、信用情報のクリーンさ ── これらはいずれも不要です。ファクタリングの審査で重視されるのはあくまで売掛先の信用度であり、自身の信用情報は重要視されにくいのが特徴です。

少額対応のファクタリングサービス比較

従来のファクタリングは法人向けで最低利用額が50〜100万円以上というケースが多かったのですが、2024年以降、個人事業主・フリーランス特化型サービスが急増しています。

サービス名 最低利用額 手数料 入金スピード 契約方式 特徴
ペイトナーファクタリング 1万円〜 一律10% 最短10分 2社間 AI審査、業界最速クラス
ラボル 1万円〜 一律10% 最短30分〜1時間 2社間 フリーランス特化、24時間365日対応
FREENANCE即日払い 1万円〜 3〜10% 最短5分〜2時間 2社間 GMOグループ運営、専用口座で手数料低減
ビートレーディング 下限なし 2〜12% 最短2時間 2社間/3社間 7.1万社以上の取引実績、法人・個人両対応

これらのサービスは完全オンラインで完結し、対面面談は不要です。必要書類は「請求書」「本人確認書類」「振込先口座情報」の3点のみというケースが多く、従来のファクタリングに比べて格段に手軽になっています。

審査を通すための5つのコツ

コツ1:売掛先の信用力が高い案件を選ぶ

上場企業、官公庁、大手法人向けの請求書ほど審査に通りやすく、手数料も低くなる傾向があります。複数の売掛債権がある場合は、最も信用力の高い売掛先の債権をファクタリングに回しましょう。

コツ2:請求書の記載を正確にする

金額、支払期日、役務内容、振込先が明記された請求書は審査をスムーズにします。フリーランス新法の施行により、発注者側にも取引条件の書面明示が義務化されたため、発注書や契約書を合わせて提出すると信頼度が上がります。

コツ3:継続取引の実績を示す

過去の入金履歴(通帳コピーやネットバンキングの明細)を提出することで、売掛先との取引実態を証明できます。3回以上の入金実績があると審査通過率は大きく上がります。

コツ4:申込は午前中に

「即日入金」を希望するなら、午前中に必要書類を揃えて申し込むのがベストです。16時以降の承認は翌営業日入金になることが大半です。

コツ5:複数社に見積もりを取る

同じ売掛債権でもファクタリング会社によって手数料率は異なります。ペイトナーとラボルは一律10%ですが、FREENANCEは専用口座を使えば3%まで下がるケースがあります。最低3社から見積もりを取り比較しましょう。

個人事業主のファクタリング活用シーン5選

シーン1:Webデザイナー ─ 入金60日先の案件

大手企業から50万円の案件を受注し、納品済みだが入金は60日後。その間にAdobe Creative Cloudの年間更新費、サーバー費、生活費が必要です。請求書をファクタリングで即日現金化し、手数料10%で手取り45万円を確保。次の案件にもすぐに着手できます。

シーン2:動画クリエイター ─ 毎月の立替解消

広告代理店からの月額80万円の継続案件。毎月末締め翌々月払いのため、常に2か月分の立替が発生しています。毎月1か月分をファクタリングで早期回収し、キャッシュフローを安定化。手数料10%で毎月8万円のコストですが、外注費の遅延リスクを回避できるメリットが上回ります。

シーン3:建設系一人親方 ─ 材料費の先行調達

元請会社からの工事請負金200万円のうち、材料費80万円を着工前に調達する必要があります。請負契約書と請求書でファクタリングを申し込み、翌日に資金化。手数料率10%で手取り180万円。工事を予定通り開始できました。

シーン4:コンサルタント ─ 外注リサーチャーへの支払い

大手企業へのコンサルティング報酬150万円の入金が90日後。その間に外注リサーチャーへの報酬50万円を支払う必要があります。売掛債権をファクタリングし、手数料率8%(売掛先が上場企業のため低め)で手取り138万円。外注費を期日通り支払えました。

シーン5:ECショップオーナー ─ カード債権の早期現金化

クレジットカード売上の入金が翌月末のため、在庫仕入れ資金が不足しています。カード債権100万円をファクタリングで早期現金化し、手数料率10%で手取り90万円。人気商品の在庫切れを防止し、売上機会の損失を回避しました。

会計処理と税務上の注意

ファクタリングの手数料は「売上債権売却損」として損金(経費)計上できます。消費税は非課税(金融取引のため)です。

仕訳例(請求額50万円、手数料10%=5万円の場合)

契約時:

借方 金額 貸方 金額
未収入金 450,000円 売掛金 500,000円
売上債権売却損 50,000円    

入金時:

借方 金額 貸方 金額
普通預金 450,000円 未収入金 450,000円

確定申告では「売上債権売却損」は「その他の経費」に計上します。年間のファクタリング利用回数が多い場合は、税理士に相談して適切な科目設定を行うことをお勧めします。

注意すべき悪質業者の見分け方

金融庁もファクタリングに関する注意喚起を行っています。個人事業主を狙った悪質業者が存在するため、以下の5つのチェックポイントを必ず確認してください。

チェック1:「償還請求権あり」は実質融資

売掛先が支払わなかった場合に利用者に請求が来る契約(償還請求権あり=リコース)は、法的にはファクタリングではなく融資に該当します。貸金業登録がない業者がこの契約を行っている場合はヤミ金の可能性があります。必ず「ノンリコース(償還請求権なし)」を選びましょう。

チェック2:手数料が30%超

2社間の相場は8〜18%、3社間は2〜9%です。これを大幅に超える手数料を提示する業者は法外です。

チェック3:契約書を事前に見せない

契約前に契約書の全文を開示しない業者は利用すべきではありません。正規のファクタリング会社は、契約前に必ず全文を提示し、不明点の質問に応じます。

チェック4:保証金・デポジットの要求

ファクタリングでは保証金やデポジットは一切不要です。これを求める業者は詐欺の可能性があります。

チェック5:運営会社の情報が不明

会社名、所在地、代表者名、法人番号などの基本情報がWebサイトに掲載されていない業者は避けてください。国税庁の法人番号公表サイトで実在を確認するのが確実です。

フリーランス新法・取適法がファクタリングに与える追い風

2024年11月施行のフリーランス新法と2026年1月施行の取適法は、個人事業主のファクタリング利用にとって明確な追い風です。

フリーランス新法の影響

発注者に対して取引条件の書面明示、報酬の適正支払い、ハラスメント防止が義務化されました。これにより、フリーランスが受け取る請求書や契約書の整備レベルが向上し、ファクタリング審査で提出する書類の信頼性が上がっています。

取適法の影響

支払サイトが60日以内に厳格化され、手形払いが原則禁止に。これまで90日〜120日待ちだった売掛金が60日以内に回収される構造に変わったため、ファクタリング会社にとっても債権の回収リスクが低下し、手数料率の引き下げにつながる可能性があります。

ファクタリングと他の資金調達手段の比較

個人事業主が利用できる主な資金調達手段をファクタリングと比較します。

比較項目 ファクタリング 日本政策金融公庫 自治体制度融資 カードローン
資金化スピード 最短10分〜即日 2〜4週間 3〜6週間 最短即日
審査基準 売掛先の信用度 事業計画・実績 事業計画・実績 個人の信用情報
コスト 手数料3〜18% 年利0.3〜2.8% 年利1.0〜2.0% 年利3〜18%
負債計上 なし あり あり あり
担保・保証人 不要 原則不要 必要な場合あり 不要
開業1年未満 利用可能 利用可能 困難な場合あり 困難な場合あり
適した場面 急な資金需要・つなぎ 設備投資・長期運転資金 低金利で中長期借入 少額の生活資金

ファクタリングはスピードと審査の柔軟性に優れますが、コスト面では融資に劣ります。最も効果的なのは「急な資金需要はファクタリング、長期的な運転資金は公庫・制度融資」という併用戦略です。

よくある質問(FAQ)

Q. 開業したばかりでも利用できますか?

はい。ファクタリングは売掛先の信用度を重視するため、開業直後でも売掛債権があれば利用可能です。確定申告書が1期分もない場合でも、請求書と通帳コピー(入金実績)で審査に通るケースがあります。

Q. 副業フリーランスでも使えますか?

利用できます。ペイトナーやラボルなど個人特化型サービスは、副業フリーランスも対象です。ただし、売掛先が法人であることが条件となるケースが多いです。

Q. 取引先にファクタリング利用がバレますか?

2社間ファクタリングなら取引先への通知は不要です。利用者とファクタリング会社の2者間で完結するため、取引先に知られるリスクはありません。

Q. 売掛先が個人の場合は利用できますか?

売掛先が個人の場合、対応するファクタリング会社は限られます。多くのサービスは売掛先が法人であることを条件としています。個人間取引がメインの方は、事前にサービスの利用条件を確認してください。

Q. 毎月ファクタリングを使い続けても大丈夫ですか?

利用自体は可能ですが、手数料が毎月発生するためコストがかさみます。ファクタリングは「急な資金需要への一時的なつなぎ」として位置づけ、長期的な資金調達には公庫融資や制度融資を併用するのが健全です。

まとめ

個人事業主・フリーランスにとって、ファクタリングは「売掛債権さえあれば使える、スピード重視の資金調達手段」です。1万円から利用でき、完全オンラインで最短10分入金も可能な時代になりました。

2024年11月のフリーランス新法と2026年1月の取適法により、フリーランスの取引環境は大きく改善し、売掛債権の信頼性が向上しています。freeeの調査でフリーランスの約6割が年末年始の資金繰りに悩んだ経験があると回答しているように、「知っているかどうか」で乗り越えられるピンチが変わります

ただし、手数料負担は確実に発生するため、「常時利用」ではなく「急な資金需要・商機を逃さないための一時的な利用」として位置づけるのが最も効果的です。長期的な資金調達には日本政策金融公庫の融資や自治体の制度融資を併用し、ファクタリングはスポットで活用する ── この組み合わせを覚えておいてください。

法人を含む業種別利用データは「ファクタリングを利用する事業者一覧と利用理由」、具体的な成功・失敗事例は「【業種別】ファクタリング成功・失敗事例12選」をご覧ください。

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