【2026年最新】ファクタリングを利用する事業者一覧と利用理由|業種別データで徹底解説

日本のファクタリング市場は2025年3月期で約6.0兆円(アンクパートナーズ推計)。IMARC Groupの予測では2025年の1,968億米ドルから2034年に3,676億米ドルへ年率7.19%で成長すると見込まれています。

その背景には、全国企業倒産件数が2025年に1万261件(帝国データバンク/12年ぶりの1万件超)〜1万300件(東京商工リサーチ)に達し、全国平均借入金利が1.20%(前年比+0.16pt)まで上昇している現実があります。人手不足倒産も427件と3年連続で過去最多を更新しました。

さらに2026年1月施行の「中小受託取引適正化法(取適法)」により支払サイトが60日以内に厳格化され、手形払いが原則禁止に。これまで120日サイトで苦しんでいた下請事業者の資金繰り構造が根本的に変わり、売掛債権の早期現金化ニーズはさらに高まっています。

しかし、株式会社JPSが2025年10月に経営者・役員100人を対象に行ったアンケートでは、ファクタリングの認知度はわずか41%。つまり「知っている人はしっかり活用し、知らない人は選択肢にすら入れていない」のが現状です。

八木 健介|中小企業の資金繰りサポーター

都市銀行の法人営業を経て広告メディア会社を創業。銀行員時代の融資審査経験と、卸売業で支払サイト90日の資金繰りに苦労した経営者としての実体験をもとに執筆しています。

本記事では、公開されている業種別データ・調査統計をもとに「どんな業種の事業者がファクタリングを利用しているのか」「なぜその業種で利用率が高いのか」を網羅的に解説します。

業種別ファクタリング利用率データ ─ 申込割合ランキング

株式会社JTC(東海・関西拠点、実績10年超)が公表したファクタリング申込企業の業種別データは以下のとおりです。

順位 業種 申込割合 申込件数
1 建設業 40.9% 2,210件
2 運送業 19.9% 1,075件
3 製造業 10.4% 566件
4 卸売業 6.1% 330件
5 IT業 3.4% 187件
6 その他 19.3% 1,031件

出典:株式会社JTC「業種別申込企業統計」

また、株式会社ベストファクターのデータでは利用割合トップは運送業18.8%、次いで製造業17.9%と報告されており、ファクタリング会社の顧客層によって順位は変動します。共通して言えるのは、「支払サイトが長い」「先出し経費が大きい」「季節変動がある」業種ほど利用率が高いということです。

利用率が高い7業種とその利用理由

1. 建設業 ─ 圧倒的トップ、申込の約4割

建設業がファクタリング利用のトップに立つ理由は明確です。工事の着工から完成検査・入金まで3〜6か月かかるのが通常であり、その間に材料費、外注費、重機リース料、職人への日当を先払いしなければなりません。公共工事の場合は検査完了後の支払いとなるため、さらにサイトが延びるケースもあります。

帝国データバンクによると、2025年の建設業倒産は前年比6.9%増の2,021件。2000年以降で初の4年連続増加であり、過去10年で最多です。資材高騰と人手不足のダブルパンチが中小建設業者の資金繰りを圧迫するなか、ファクタリングを利用すれば工事請負代金の売掛債権を即日〜数日で現金化でき、次の現場の立ち上げ資金に充てることができます。

また、建設業許可の取得・更新には500万円以上の自己資本または現金預金が条件となるため、その基準をクリアするためにファクタリングで一時的に残高を確保するケースも実務上多く見られます。

2. 運送業 ─ 燃料費先行と人手不足倒産リスク

運送業は荷主からの入金サイトが30〜60日と長い一方、燃料費、高速料金、ドライバー人件費は即時〜月次で支払いが発生します。2024年4月施行の「物流2024年問題」(ドライバー残業規制)により人員増強や車両追加が必要になり、突発的な資金需要が増えています。

帝国データバンクの調査では、2025年の人手不足倒産427件のうち物流業は52件で過去最多を記録。こうした業界構造から、売掛債権の早期現金化が事業存続に直結しており、ファクタリングの利用率が高くなっています。

3. 製造業 ─ 受注増→原材料先行仕入れの資金ギャップ

製造業、とくに自動車部品や電子部品の下請メーカーは、親会社からの急な増産依頼に対応するため原材料の先行発注が不可欠です。しかし売掛金の入金は納品後60〜90日後。この時間差が資金繰りを逼迫させます。

EV化や半導体需要の変動で受注が急増・急減する環境では、銀行融資の申請を待つ余裕がありません。ファクタリングなら最短即日で資金化でき、商機を逃さず対応できます。

4. 人材派遣業 ─ 給与立替と許可要件

人材派遣業の資金繰りの最大の課題は「給与の先払い」です。派遣スタッフへの給与は月末締め翌月払いですが、派遣先からの報酬入金は翌々月になるのが一般的。事業規模が拡大するほど立替額が膨らみます。

さらに、一般労働者派遣事業許可の取得には自己名義の現金・預金1,500万円以上が条件のため、許可更新前にファクタリングで資金を確保するケースも多く報告されています。

5. 卸売・小売業 ─ 季節変動と薄利構造

卸売業は仕入先への支払いが先行し、販売先からの入金は1〜2か月後。粗利が薄いため、1件の入金遅延が全体の資金繰りに波及します。小売業ではクレジットカード決済比率の上昇に伴い、カード売上の入金までのタイムラグ(30〜60日)が拡大しており、ファクタリングによるカード債権の早期現金化が有効です。

6. IT・情報通信業 ─ プロジェクト型ビジネスの資金ギャップ

IT業界は、案件完了後に一括で報酬が支払われるプロジェクト型の契約が主流です。開発期間中のエンジニア人件費やサーバー費は毎月発生する一方、売上入金は検収後60〜90日後。開業間もないスタートアップが銀行融資の審査に通りにくいこともあり、ファクタリングでの資金調達が増加しています。

7. 医療・介護業 ─ 診療報酬債権の安定性が武器

医療機関・介護施設は、診療報酬・介護報酬の請求から入金まで約2か月のタイムラグがあります。ただし売掛先が社会保険診療報酬支払基金や国保連といった公的機関であるため、債権の回収可能性が極めて高く、審査に通りやすい・手数料が低いという特徴があります。

新規開業時に設備投資が先行するクリニックや、利用者増に伴うスタッフ増員が必要な介護施設では、銀行融資が間に合わないケースでもファクタリングで迅速に資金を確保できます。

業種を問わず共通する「4つの利用動機」

動機1:スピード

銀行融資が2〜4週間かかるのに対し、2社間ファクタリングなら最短即日。急な資金需要に対応できる最も迅速な資金調達手段です。

動機2:審査基準の違い

ファクタリングの審査で重視されるのは「売掛先」の信用度です。自社が赤字や債務超過でも、売掛先が上場企業や公的機関であれば利用できる可能性があります。

動機3:オフバランス化

ファクタリングは売掛債権の売却であるため、借入れのように負債が増えません。財務諸表を健全に見せたい局面(銀行融資の審査前、入札前など)に有効です。

動機4:取適法への対応

2026年施行の取適法により手形払いが禁止され、支払サイトが60日以内に短縮されました。親事業者が現金払いに切り替えたことで、下請側の売掛債権がファクタリングに適した「確実で短期の債権」になり、利用のハードルが下がっています。

個人事業主・フリーランスの利用も急増

法人だけでなく、個人事業主やフリーランスによるファクタリング利用も顕著に増加しています。2020年の調査ではファクタリング利用経験者は全体の3.8%にとどまっていましたが(JPS調査)、2025年以降はフリーランス特化型のサービス(ラボル、ペイトナーファクタリング、FREENANCE即日払いなど)が急増し、最低1万円からの少額ファクタリングも一般的になりました。

背景には、フリーランス人口の拡大(内閣官房統計で約462万人)と、銀行融資が受けにくい個人事業主の資金調達ニーズの高まりがあります。クライアントが大企業であれば、個人の信用力に関わらず審査に通りやすいのがファクタリングの強みです。

個人事業主・フリーランスのファクタリング活用についてさらに詳しくは「個人事業主・フリーランスのためのファクタリング完全ガイド」で解説しています。

ファクタリングを利用する前に知っておくべき注意点

手数料は必ず発生する

2社間ファクタリングの相場は8〜18%、3社間は2〜9%です。手数料は売掛金の額面から差し引かれるため満額は受け取れません。資金計画に手数料を織り込んだうえで利用することが大切です。

売掛金以上の調達はできない

ファクタリングで得られる資金は保有する売掛債権の範囲内です。大規模な設備投資には別途銀行融資やリースとの併用を検討する必要があります。

業者選びが最重要

手数料が極端に安い(1〜2%)業者や、逆に20%超を提示する業者は注意が必要です。償還請求権(リコース)の有無、契約書の事前開示、運営会社の登記情報などを確認し、最低3社から見積もりを取ることを強くお勧めします。

同業種の成功例=自社の成功ではない

審査基準はファクタリング会社ごとに異なります。他社が通ったからといって自社も通る保証はないため、事前の相談と複数社比較が重要です。

ファクタリング会社を選ぶときの4つのポイント

ポイント1:手数料の透明性

見積もり段階で「手数料○%」以外の費用(事務手数料、登録料、振込手数料など)が発生しないかを必ず確認しましょう。手数料以外に一切費用がかからない会社を選ぶのが安全です。

ポイント2:償還請求権(ノンリコース)の確認

償還請求権ありの契約は、売掛先が倒産した場合に利用者が負担を負います。法的には融資に該当するため、ノンリコース(償還請求権なし)の会社を選びましょう。

ポイント3:資金化までのスピード

2社間ファクタリングなら最短即日、3社間は1〜2週間が目安です。急ぎの場合はオンライン完結型のサービスを選ぶとスムーズです。

ポイント4:対応金額の幅

下限・上限はファクタリング会社によって異なります。少額(数十万円)でも対応する会社もあれば、数億円規模に対応する会社もあるため、自社の売掛金額に合った会社を選びましょう。

業種別の詳細な成功・失敗事例を知りたい方へ

本記事では「どんな事業者がファクタリングを使っているか」の全体像を解説しました。各業種の具体的な金額・手数料率つきの成功事例と、避けるべき失敗パターンについては以下の記事で詳しく解説しています。

【業種別】ファクタリング成功・失敗事例12選|建設業・運送業・IT・医療ほか【2026年最新】

【2026年最新】個人事業主・フリーランスのためのファクタリング完全ガイド|少額OK・審査のコツ

まとめ

ファクタリングは建設業(申込割合40.9%)を筆頭に、運送業、製造業、人材派遣業、卸売・小売業、IT業、医療・介護業まで幅広い業種で活用されています。共通するのは「支払サイトが長い」「先出し経費が大きい」「銀行融資だけでは対応しきれない」という資金繰り課題を抱えている点です。

2025年は全国企業倒産1万261件、建設業倒産2,021件、人手不足倒産427件といずれも高水準で推移しました。2026年の取適法施行により支払サイトが60日以内に短縮されたことで、売掛債権の質はむしろ向上し、ファクタリングの利用条件は以前より有利になっています。

市場規模6.0兆円、年率7%超の成長が続くファクタリングは、中小企業・個人事業主にとって「知っているかどうか」で資金繰りの選択肢が大きく変わる存在です。まずは自社の売掛債権を棚卸しし、最低3社のファクタリング会社から見積もりを取ることから始めてみてください。

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