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2社間ファクタリングなら建設業でも取引先に知られない|元請けとの関係を守りながら即日で資金調達する方法
建設業の下請けにとって、資金繰りの問題は常に頭が痛いテーマです。元請けからの支払いサイトは60日〜120日と長く、一方で職人さんへの日当、資材費、重機リース代は待ってくれません。「ファクタリングを使えば即日で資金化できる」と聞いたことがある方も多いでしょう。しかし、そこで必ず浮かぶのが「元請けにバレたらどうなるのか」という不安です。
建設業界は信用がすべてです。「あそこは資金繰りが苦しいらしい」と元請けに思われたら、次の現場から声がかからなくなるかもしれません。実際に、3社間ファクタリングで元請けに債権譲渡通知を出した結果、「経営が危ないのでは」と疑われ、受注量が減ったという事例もあります。
この記事では、元請けに一切知られることなく売掛金を即日で現金化できる「2社間ファクタリング」の仕組みを、建設業に特化して徹底解説します。バレる原因とその防止策、債権譲渡登記の扱い、手数料の相場、具体的な活用ステップまで、建設業の現場目線で網羅しました。
八木健介|中小企業の資金繰りサポーター
都市銀行で法人営業を経験した後、広告メディア会社を創業。現在も経営者として、資金繰りや銀行とのやり取りに向き合っています。
自身も卸売業で百貨店との取引を行い、支払いサイト90日の資金繰りに苦労した経験があります。「売上はあるのに手元資金が足りない」という状況を実体験しました。
同じように悩む中小事業者の方に向けて、資金繰り・資金調達・資金難の乗り越え方を、できるだけわかりやすくお伝えしています。
この記事でわかること
- 2社間ファクタリングの仕組みと、なぜ元請けに知られないのかの法的根拠
- 建設業で「バレる」3つの原因と、それぞれの具体的な防止策
- 債権譲渡登記が不要なファクタリング会社の選び方
- 建設業の支払いサイト(60日〜120日)に対応した活用シナリオ
- 手数料相場と、コストを抑えるための交渉テクニック
- 実際のケーススタディ:月商500万円の下請け業者が即日200万円を調達した流れ
建設業の下請けが抱える「支払いサイト問題」の深刻さ
建設業界の資金繰りが厳しい最大の原因は、支払いサイトの長さにあります。工事が完了し検収を受け、請求書を出してから実際に入金されるまで、60日〜120日かかるケースが一般的です。手形サイトの平均は89.1日というデータもあり、資材費や人件費を立て替え続けなければならない下請けにとって、この資金ギャップは経営の根幹を揺るがします。
帝国データバンクによれば、2025年の建設業倒産件数は2,021件で前年比6.9%増、4年ぶりに2,000件を超えました。その背景には、資材価格の高騰と人手不足に加え、長い支払いサイトによるキャッシュフローの圧迫があります。売上が立っているのに手元資金が回らない、いわゆる「黒字倒産」のリスクは建設業で特に高いのです。
2024年11月からは、手形サイト60日超の支払いが行政指導の対象になりました。しかし現場では移行期であり、依然として90日以上のサイトが残っています。この「制度と現実のギャップ」が埋まるまでの間、下請けは自ら資金繰りを改善する手段を持つ必要があります。その有力な選択肢がファクタリングです。
2社間ファクタリングの仕組み|なぜ元請けに知られないのか
ファクタリングには「2社間」と「3社間」の2つの契約形態があります。建設業の下請けが元請けに知られたくない場合、2社間ファクタリングが最も適しています。ここではその仕組みと、通知が不要な法的根拠を解説します。
2社間ファクタリングの基本構造
2社間ファクタリングとは、「利用者(下請け業者)」と「ファクタリング会社」の2者だけで契約する形態です。元請け(売掛先)は契約の当事者に含まれず、債権譲渡の通知や承諾も一切必要ありません。
具体的な流れは次の通りです。まず下請け業者がファクタリング会社に申し込み、請求書や契約書などの書類を提出します。ファクタリング会社は元請けの信用力を独自に審査し、買取条件(手数料率・買取額)を提示します。条件に合意したら電子契約を締結し、最短で即日、遅くとも翌営業日に資金が振り込まれます。その後、元請けからの入金日が来たら、通常通り下請け業者の口座に入金されます。下請け業者はその入金をファクタリング会社に送金して取引完了です。
この一連の流れで、元請けが関わるのは「通常通りの支払いを行う」という点だけです。元請け側からは何も変わらないため、ファクタリングの利用を知る手がかりがありません。
3社間ファクタリングとの違い
一方、3社間ファクタリングでは、元請けに対して「債権譲渡通知書」を送付し、承諾を得る必要があります。元請けは以後、代金をファクタリング会社に直接支払います。手数料は2〜9%と安いものの、元請けに資金調達の事実が伝わるため、建設業では「経営が苦しいのか」と受け取られるリスクがあります。実際、複数の業界メディアが「元請けが3社間ファクタリングの通知に難色を示した」という事例を報じています。
したがって、元請けとの関係性を最優先にする建設業の下請けにとっては、手数料がやや高くても2社間ファクタリングを選ぶのが現実的な判断です。
法的根拠:なぜ通知なしで債権を譲渡できるのか
ファクタリングは民法第466条に基づく「債権譲渡」の一種であり、合法的な取引です。民法上、債権譲渡そのものは当事者間の合意だけで有効に成立します。ただし、債務者(元請け)への対抗要件を備えるには通知または承諾が必要ですが、2社間ファクタリングではこれを省略する代わりに、ファクタリング会社がリスクを引き受ける形で成立しています。リスクが高い分、手数料が3社間より上がるという構造です。
2社間ファクタリングでも「バレる」3つの原因と防止策
2社間ファクタリングは「原則、元請けに通知しない」仕組みですが、「絶対にバレない」わけではありません。バレる原因は大きく分けて3つあり、それぞれに明確な防止策があります。
原因①:債権譲渡登記
2社間ファクタリングでは、ファクタリング会社が二重譲渡を防止するために法務局で「債権譲渡登記」を行うことがあります。この登記は誰でも閲覧請求できるため、もし元請けの経理担当が登記簿を確認した場合、債権が譲渡されている事実が判明します。実際に閲覧する企業は多くありませんが、リスクはゼロではありません。
防止策:債権譲渡登記が「不要」なファクタリング会社を選ぶことが最も確実です。近年はオンライン完結型のファクタリング会社を中心に、債権譲渡登記なしで2社間取引に対応するサービスが増えています。申し込み時に「債権譲渡登記は必要ですか?」と必ず確認しましょう。
原因②:ファクタリング会社からの情報漏洩
信頼性の低い業者を利用した場合、意図的または過失による情報漏洩のリスクがあります。たとえば、審査の過程で元請けに直接問い合わせを行ったり、不適切な連絡をしたりするケースが報告されています。
防止策:実績が豊富で建設業の取引に慣れたファクタリング会社を選びましょう。契約書に「秘密保持条項」が明記されているか確認し、元請けへの直接連絡を禁止する旨を書面で取り決めることも有効です。口コミやレビューで「情報漏洩」に関するトラブルがないかを事前に調査することも大切です。
原因③:入金遅延による催促
2社間ファクタリングでは、元請けからの入金を一旦利用者が受け取り、ファクタリング会社に送金する義務があります。この送金が遅れた場合、ファクタリング会社は債権者としての権利を行使するため、最終的に元請けに対して債権譲渡の通知(対抗要件の確保)を行うことがあります。こうなれば、元請けにファクタリング利用が発覚します。
防止策:元請けからの入金があったら、当日中にファクタリング会社への送金を完了させる運用ルールを徹底しましょう。入金予定日のリマインダー設定や、送金専用口座を分離管理するなど、事務フローを整備しておくことで、遅延リスクを排除できます。
建設業で2社間ファクタリングを利用する際の手数料相場
2社間ファクタリングの一般的な手数料相場は8〜18%ですが、建設業の場合、元請けの信用力によって条件が大きく変わります。元請けが大手ゼネコンや上場企業であれば、売掛金の回収リスクが低いため、手数料は5〜12%程度に抑えられる傾向があります。公共工事の場合はさらに低く、3〜8%程度で利用できることもあります。
一方、3社間ファクタリングの手数料相場は2〜9%です。2社間は通知不要のメリットがある分、3〜10ポイント程度上乗せされると考えてください。しかし、元請けに知られて取引を失うリスクと比較すれば、この差は「関係性を守るための保険料」と捉えることもできます。
手数料を下げるための5つの交渉テクニック
まず、3社以上のファクタリング会社から相見積もりを取ることが基本です。競合他社の見積もりを提示すれば、手数料引き下げの交渉材料になります。次に、元請けの企業名と規模を正確に伝えましょう。大手ゼネコンや上場企業が元請けであることが判明すれば、ファクタリング会社側のリスク評価が下がり、好条件が出やすくなります。
3つ目は、売掛金の金額です。500万円以上の案件は手数料率が下がる傾向にあります。小額の売掛金が複数ある場合は、まとめて申し込むことで合計額を上げ、交渉力を高められます。4つ目は、支払いサイトの短さです。元請けの支払いサイトが60日以内であれば、90日や120日の案件よりリスクが低いため、低手数料が期待できます。
最後に、継続利用による割引交渉です。初回は実績がないため手数料が高めに設定されますが、2回目以降は支払い遅延なく送金した実績がファクタリング会社に蓄積されます。3回以上の利用実績がある場合、手数料を2〜5ポイント下げられるケースが珍しくありません。
ケーススタディ:月商500万円の下請け塗装業者Hさんの場合
ここでは、2社間ファクタリングを活用して資金繰りを改善した建設業者の典型的なケースを紹介します。
Hさんの状況
Hさんは従業員5名の塗装工事会社を経営しています。元請けは準大手ゼネコン1社で、支払いサイトは90日。月商は約500万円ですが、材料費と人件費の支払いは月末に集中し、毎月200万円前後の資金ギャップが発生していました。銀行融資は審査に3週間かかる上、直近の決算が赤字だったため追加融資が難しい状態でした。
2社間ファクタリングを選んだ理由
Hさんにとって最大の懸念は、「元請けに資金繰りの苦しさを知られること」でした。この元請けからの受注が売上の8割を占めていたため、関係が悪化すれば事業の存続に関わります。3社間ファクタリングでは債権譲渡通知が必要なため選択肢から外し、2社間ファクタリングで債権譲渡登記が不要な会社を3社比較しました。
利用の流れと結果
Hさんは月曜日の朝9時にオンラインで申し込みました。請求書、元請けとの契約書、通帳コピー(直近3か月)、確定申告書を提出。元請けが準大手ゼネコンということで審査はスムーズに進み、12時に手数料8%・買取額200万円の条件が提示されました。13時に電子契約を締結し、15時前に184万円(200万円−手数料16万円)が口座に着金。申し込みから約6時間で資金調達が完了しました。
90日後に元請けからHさんの口座に200万円が入金され、Hさんは当日中にファクタリング会社へ全額送金。元請け側は通常通りの支払いを行っただけで、ファクタリングの利用には気づいていません。
その後Hさんは月に1回のペースで利用を続け、3回目の取引で手数料が8%→6%に引き下げられました。年間で約144万円の手数料コストですが、「元請けとの関係を維持しながら資金繰りが安定した」とHさんは話しています。
建設業特化型のファクタリング会社を選ぶポイント
建設業でファクタリングを利用する場合、業界の特殊性を理解している会社を選ぶことが成功の鍵です。確認すべきポイントは5つあります。
1つ目は「債権譲渡登記が不要かどうか」です。これは元請けに知られないための最重要条件です。申し込み前に必ず確認してください。
2つ目は「建設業の取引実績があるか」です。工事請負契約の読み方や出来高払い・注文書ファクタリングへの対応など、建設業特有の商慣行を理解している会社であれば、審査も手続きもスムーズです。
3つ目は「手数料の透明性」です。基本手数料だけでなく、事務手数料・振込手数料・契約手数料など、追加費用がないかを書面で確認しましょう。「手数料5%〜」と表示していても、実際には10%以上になるケースもあります。
4つ目は「契約書に秘密保持条項が含まれているか」です。元請けへの連絡禁止を明文化した条項がある会社は、2社間取引の秘匿性に対して真剣に取り組んでいる証拠です。
5つ目は「即日対応が可能か」です。建設業では急な支払いが発生しやすいため、午前中に申し込めば午後には入金される体制の会社を優先しましょう。オンライン完結型であれば、全国どの現場からでもスマートフォンから申し込めます。
注文書ファクタリング・出来高ファクタリングとの使い分け
建設業では、通常の「請求書ファクタリング」に加えて、「注文書ファクタリング」と「出来高ファクタリング」も利用できます。それぞれ資金化のタイミングが異なるため、現場のフェーズに合わせて使い分けることが重要です。
請求書ファクタリングは工事完了後・請求書発行後に利用するもので、手数料は2〜18%、審査通過率は85〜95%と最も安定しています。元請けの支払い確定後なので、ファクタリング会社にとってのリスクが低く、条件が良くなりやすいのが特徴です。
注文書ファクタリングは、受注時の注文書を基に資金化するもので、工事着手前に資金を確保できるメリットがあります。ただし工事が完了していないため、ファクタリング会社のリスクが高く、手数料は10〜30%、審査通過率は30〜50%と厳しめです。大型案件の着手金が必要な場合など、限定的な場面で活用しましょう。
出来高ファクタリングは、工事の進捗に応じた売掛金を売却する方法で、手数料は5〜15%、審査通過率は50〜70%。長期の工事で、途中段階の資金を確保したいときに向いています。いずれも2社間での利用が可能であり、元請けに通知せずに資金化できます。
よくある質問(FAQ)
Q. 2社間ファクタリングは本当に元請けにバレませんか?
原則としてバレません。2社間ファクタリングは元請けへの通知が不要な仕組みです。ただし、債権譲渡登記を行う会社を利用した場合、登記簿の閲覧でバレる可能性があります。また、ファクタリング会社への送金が遅延した場合も通知が行われるリスクがあります。「債権譲渡登記不要」の会社を選び、送金を遅延なく行うことが防止策です。
Q. 赤字決算でも利用できますか?
利用できます。ファクタリングの審査は、利用者の財務状況よりも元請け(売掛先)の信用力を重視します。元請けが大手ゼネコンや上場企業であれば、赤字決算でも審査を通過できるケースが多いです。
Q. 個人事業主の一人親方でも利用できますか?
利用可能です。法人でなくても、売掛金の請求書と元請けとの契約書があれば申し込めます。ただし、個人事業主は法人に比べて手数料がやや高く設定される傾向があります。
Q. 手数料は経費として処理できますか?
ファクタリング手数料は「売上債権売却損」として損金(経費)に計上できます。消費税は非課税です。
Q. 元請けとの契約書に「債権譲渡禁止特約」がある場合はどうなりますか?
2020年4月施行の改正民法により、債権譲渡禁止特約が付いていても、債権譲渡自体は原則として有効になりました。ただし、ファクタリング会社によっては取り扱いを断るケースもあるため、事前に確認してください。
Q. 2社間ファクタリングで手数料を3%以下にできますか?
2社間ファクタリングで3%以下を実現するのは現実的に困難です。2社間の手数料相場は8〜18%で、好条件でも5〜8%程度が下限です。3%以下を目指す場合は3社間ファクタリングの検討が必要ですが、元請けへの通知が発生します。
2社間ファクタリングを活用するためのロードマップ
今日やること:現在保有している売掛金の一覧を作成します。元請け名、金額、支払いサイト、債権譲渡禁止特約の有無を整理してください。
今週やること:2社間ファクタリングに対応し、債権譲渡登記が不要な会社を3社以上ピックアップし、相見積もりを依頼します。元請けが大手ゼネコン・上場企業であることを伝え、手数料を比較しましょう。
今月やること:最も条件の良い会社と初回取引を行います。申し込みから入金までの流れを体験し、送金フローを整備してください。
3か月後の目標:3回以上の利用実績を作り、手数料の引き下げ交渉を行います。並行して、銀行融資や支払いサイト短縮の交渉も進め、ファクタリング依存度を段階的に下げていくのが理想的なゴールです。
まとめ
建設業の下請けにとって、ファクタリングの利用が元請けに知られることは大きなリスクです。しかし、2社間ファクタリングであれば元請けへの通知は不要であり、債権譲渡登記が不要な会社を選び、送金遅延を起こさなければ、バレる可能性を極限まで低くできます。
手数料は2社間で8〜18%と、3社間の2〜9%より高めですが、元請けとの関係を守り、受注を維持できることの価値と比較すれば、合理的な選択になり得ます。特に大手ゼネコンや上場企業が元請けの場合は、審査も通りやすく手数料も抑えられるため、建設業とファクタリングの相性は決して悪くありません。
資金繰りに悩む時間は、現場を回す時間を奪います。2社間ファクタリングを上手に活用し、元請けとの信頼関係を維持しながら、安定したキャッシュフローを手に入れてください。


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