卸売業がビジネスローンの高金利に苦しむ前に|金利ゼロ・負債ゼロの代替手段を徹底比較
「ビジネスローンで急場をしのいだけど、毎月の利息が重い」「年利15%の返済が資金繰りを圧迫している」「ノンバンクから借りたら、銀行融資を断られた」——卸売業を営む経営者から、こうした声が増えています。
2025年のゼロゼロ融資後の倒産件数は、卸売業が119件で全業種2位(帝国データバンク、2026年1月発表)。円安による仕入れコスト上昇と支払いサイトの長さが重なり、ビジネスローンの高金利返済に耐えきれず破綻するケースが目立ちます。
この記事では、卸売業の経営者がビジネスローンの金利負担を正しく理解し、「金利ゼロ・負債ゼロ」で即日資金調達できる代替手段と比較したうえで、状況に応じたベストな使い分けを解説します。
八木健介|中小企業の資金繰りサポーター
都市銀行で法人営業を経験した後、広告メディア会社を創業。現在も経営者として、資金繰りや銀行とのやり取りに向き合っています。
自身も卸売業で百貨店との取引を行い、支払いサイト90日の資金繰りに苦労した経験があります。「売上はあるのに手元資金が足りない」という状況を実体験しました。
同じように悩む中小事業者の方に向けて、資金繰り・資金調達・資金難の乗り越え方を、できるだけわかりやすくお伝えしています。
この記事でわかること
- 卸売業の資金繰りが構造的に厳しくなる3つの原因(支払いサイト・増加運転資金・固定費)
- ビジネスローンの金利が「実質的に高い」と言える3つの理由と利息シミュレーション
- ビジネスローンが銀行融資の審査に与える「隠れた悪影響」
- 金利ゼロ・負債ゼロで即日資金化できるファクタリングの仕組みと2社間・3社間の違い
- 200万円を90日間確保する場合の実質コスト比較(ビジネスローン vs ファクタリング vs 銀行融資)
- 月商600万円の食品卸がビジネスローンをやめてファクタリングに切り替えたケーススタディ
- 状況別の使い分けロードマップ
卸売業の資金繰りはなぜ厳しいのか|3つの構造的原因
卸売業の資金繰りの厳しさは、一時的な業績不振ではなく、ビジネスモデルそのものに原因があります。
原因① 支払いサイトが60〜90日と長い
卸売業の売掛金回転期間は平均1.83か月(約56日)。小売業の0.75か月(約23日)と比べて2倍以上です(中小企業実態基本調査)。大手百貨店やスーパー、メーカーとの取引では、支払いサイトが60〜90日に達するケースも珍しくありません。
月商600万円、支払いサイト90日の卸売業者の場合、最大3か月分の売上(1,800万円)が未入金のまま滞留します。仕入れ代金が売上の70%(月420万円)だとすれば、3か月で1,260万円が先に出ていく計算です。入金を待っている間にも、仕入れ・人件費・家賃は毎月確実に出ていきます。
原因② 売上増加が資金繰りを悪化させる「増加運転資金」の罠
「売上が伸びているのに、なぜ資金が足りないのか」——多くの卸売業経営者が最初に直面する矛盾です。
売上が増えれば仕入れ量も増えます。しかし仕入れ代金の支払いは先に来て、売上の入金は後から届きます。月商が300万円から600万円に倍増すれば、必要な運転資金も単純計算で2倍です。この「増加運転資金」を事前に手当てしないまま成長すると、売上が伸びるほど資金繰りが苦しくなるという逆説に陥ります。
原因③ 固定費は売上がゼロの月でも出ていく
人件費、家賃、光熱費、リース料——固定費は売上に関係なく毎月発生します。月の固定費が140万円(人件費100万円、家賃30万円、光熱費10万円)の場合、入金が15日遅れるだけで140万円の資金ギャップが生まれます。季節変動が大きい卸売業にとって、固定費は「動かせない支出」として資金繰りを圧迫し続けます。
2025年の全国企業倒産件数は1万261件で12年ぶりに1万件を超えました(帝国データバンク)。ゼロゼロ融資後の倒産は卸売業119件で業種別2位。この環境下で「すぐに現金が必要」となったとき、多くの経営者がまず手を伸ばすのがビジネスローンですが、その金利コストと副作用を正しく理解しておく必要があります。
ビジネスローンの金利が「高い」と言える3つの理由
理由① 年利5〜18%は銀行融資の3〜10倍
ビジネスローンの金利相場は、銀行系で年1〜14%、ノンバンク系で年5〜18%です。一方、銀行のプロパー融資は年1〜3%、日本政策金融公庫は年1〜2%台。ノンバンク系ビジネスローンの上限金利は、銀行融資の6〜10倍にあたります。
さらに、2025年12月に政策金利が30年ぶりに0.75%へ引き上げられました。今後、ビジネスローンの貸出金利もさらに上昇する可能性があります。
理由② 利息は「返済が終わるまで」毎月かかり続ける
ビジネスローンの金利コストは一回きりではなく、返済が完了するまで毎月加算され続けます。
具体的な数字で見てみましょう。100万円を年利15%で借り、3年(36回)で返済する場合、月々の返済額は約34,665円、利息の総額は約24.8万円です。100万円を手にするために、合計約124.8万円を支払う計算です。
卸売業のように毎月の仕入れ資金が繰り返し必要な業種では、ビジネスローンの借り入れが常態化しやすく、利息負担が雪だるま式に膨らみます。
理由③ 銀行融資の審査に悪影響を与える
ビジネスローン、とくにノンバンク系の利用履歴は信用情報に記録されます。銀行の融資担当者は決算書や信用情報を通じてノンバンクからの借入を確認しており、「銀行から借りられなかったからノンバンクに頼った」と判断されるリスクがあります。
実際に、「ビジネスローンの利用実績があると、銀行等の融資審査において不利となる」ケースが指摘されています。短期のつなぎとしてビジネスローンを使ったことで、将来の銀行融資(年利1〜3%)への道が狭くなる——目先の100万円のために将来の1,000万円を捨てるようなものです。
卸売業にとって銀行融資は運転資金の安定確保に不可欠な手段です。その選択肢を自ら狭めてしまうリスクは、金利の数字以上に深刻です。
「金利ゼロ・負債ゼロ」の代替手段:ファクタリング
ビジネスローンの代替として注目されているのが、売掛金ファクタリングです。
ファクタリングの仕組み
ファクタリングは「借入」ではなく「売掛金の売却」です。入金予定の売掛金(請求書)をファクタリング会社に売り、手数料を差し引いた金額を最短即日で受け取ります。
たとえば、売掛金200万円(入金予定90日後)をファクタリング会社に手数料5%で売却すると、受取額は190万円。これが最短当日中に銀行口座に振り込まれます。
ビジネスローンとの本質的な違いは3つあります。金利がかからない(手数料は売却時の一回きりで、翌月以降の追加負担はゼロ)。負債が増えない(貸借対照表上、借入として計上されない)。銀行融資に影響しない(信用情報に記録されず、融資審査の評価を下げない)。
なぜ「一回きり」の手数料が有利なのか
ビジネスローンの金利は返済が終わるまで毎月発生しますが、ファクタリングの手数料は売掛金を売却した時点で一度だけ発生します。
卸売業のように「毎月の仕入れ資金をつなぐ」目的で資金調達する場合、この構造の違いは大きな意味を持ちます。ビジネスローンは借入残高がある限り利息が膨らみ続けますが、ファクタリングは取引ごとにコストが完結するため、資金繰りの見通しが立てやすいのです。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリング
2社間ファクタリングは、自社とファクタリング会社の2者だけで完結する方式です。取引先には一切通知されません。手数料の相場は8〜18%、入金は最短即日。「取引先に知られたくない」「今日中に必要」という場合はこちら一択です。
3社間ファクタリングは、取引先にもファクタリングの利用を通知する方式です。手数料は2〜9%と安くなりますが、入金まで1〜2週間かかり、取引先との関係に影響する可能性があります。
実質コスト比較:200万円の資金を90日間確保する場合
卸売業の典型的なケースとして、「200万円の仕入れ資金を90日間だけ確保したい」場合の実質コストを比較します。
ビジネスローンの場合(年利15%・90日間)
200万円 × 15% ÷ 365日 × 90日 = 約73,973円(利息)。元金と別に発生する利息であり、返済方式によってはさらに膨らむ可能性があります。加えて、ノンバンクからの借入履歴が信用情報に残り、**銀行融資の審査に悪影響を与える「隠れコスト」**も発生します。
2社間ファクタリングの場合(手数料8%)
200万円 × 8% = 16万円(手数料)。受取額は184万円、最短即日入金。手数料は一回きりで、翌月以降の追加負担はゼロ。負債計上なし、銀行融資にも影響なし。手数料は「売上債権売却損」として経費計上可能(消費税非課税)。
ファクタリングの場合(大手取引先・手数料5%)
200万円 × 5% = 10万円(手数料)。受取額は190万円。売掛先が大手メーカーや上場企業、自治体の場合、ファクタリング会社にとっての回収リスクが下がるため、手数料が3〜10%まで低下し、審査通過率も80〜95%に上がります。
銀行融資の場合(年利2%・90日間)
200万円 × 2% ÷ 365日 × 90日 = 約9,863円(利息)。コストは最安ですが、審査に1〜4週間かかり、赤字決算や税金滞納があると通りにくいのが現実です。「今日中に必要」という状況には対応できません。
3手段の比較まとめ
ビジネスローン(年利15%・90日):コスト約7.4万円、資金化スピード最短即日〜1週間、負債への計上あり、信用情報への記録あり、銀行融資への影響=悪影響の可能性あり、審査対象=自社の財務状況、赤字での利用=通りにくい、コスト構造=返済完了まで毎月発生。
2社間ファクタリング(手数料5〜8%):コスト10〜16万円、資金化スピード最短即日(数時間)、負債への計上なし、信用情報への記録なし、銀行融資への影響=なし、審査対象=売掛先の信用力、赤字での利用=売掛先が優良なら可能、コスト構造=売却時の一回きり。
銀行融資(年利2%・90日):コスト約1万円、資金化スピード1〜4週間、負債への計上あり、信用情報への記録あり、審査対象=自社の財務状況、赤字での利用=通りにくい、コスト構造=返済完了まで毎月発生。
コストだけを見ると銀行融資が最安ですが、スピード・負債・信用情報まで含めた総合判断が必要です。「急ぎではないが安く借りたい」なら銀行融資。「今日中に必要で負債も増やしたくない」ならファクタリング。「ファクタリングの審査に通らず銀行融資も間に合わない」場合の最終手段がビジネスローン——この優先順位を押さえておくことが重要です。
ケーススタディ:月商600万円の食品卸がビジネスローンをやめた話
M社の概要
M社は従業員8名の食品卸売業者で、大手スーパー2社と取引しています。支払いサイトは月末締め・翌々月末払い(約90日)。月商は約600万円、仕入れ率70%で月の仕入れ代金は約420万円でした。
発生した問題
大手スーパーからの発注量が1.5倍に増え、月商は900万円に伸びました。しかし仕入れ代金も月630万円に膨張。入金は3か月後のままなので、手元資金では仕入れが追いつきません。
M社はノンバンクのビジネスローンで300万円を年利14%で借入。月々の返済は約10万円。しかし翌月も仕入れ資金が足りず、さらに200万円を追加借入しました。年間の利息負担は合計で約70万円に膨張。そしてビジネスローンの利用が決算書に載った状態で銀行に融資を相談したところ、「ノンバンクからの借入が多い」として追加融資を断られました。
M社が取ったアクション
M社は大手スーパー向けの売掛金400万円を、2社間ファクタリングで手数料6%(24万円)にて売却。376万円が翌日入金されました。この資金で仕入れ代金とビジネスローンの一部返済に充当。翌月以降も必要な月だけ同じ流れを繰り返し、3か月後にはビジネスローンを完済しました。
数字で見る変化
ビジネスローン時代:借入残高500万円、年間コスト約70万円(利息)、負債計上500万円、銀行融資=追加融資を断られた。
ファクタリング切替後:借入残高0円、年間コスト約168万円(手数料・月7回利用時)、負債計上0円、銀行融資=半年後に500万円の融資枠を獲得。
年間の直接コストだけを見ればファクタリングの方が高く見えます。しかし、ビジネスローンは500万円の負債が貸借対照表に載り続け、銀行融資の道を閉ざしていました。ファクタリングに切り替えて負債がゼロになった結果、半年後に銀行から年利2.3%で500万円の運転資金融資を獲得。年間の利息はわずか約11.5万円です。
M社の社長はこう振り返ります。「ビジネスローンは毎月返済に追われて精神的にも苦しかった。ファクタリングは必要な月だけ使えて、しかも負債にならないから銀行との関係も改善した。最初からこっちを知っていれば、ノンバンクには手を出さなかった」。
卸売業がファクタリングで有利になる3つの理由
理由① 大手取引先の売掛金で手数料が下がる
卸売業の強みは、大手スーパー、百貨店、上場メーカー、自治体といった信用力の高い取引先を持っていることです。ファクタリングの審査は「売掛先の信用力」が中心なので、売掛先が大手であれば手数料は3〜10%まで低下し、審査通過率は80〜95%に上がります。自社が赤字決算でも、売掛先に信用力があれば通ります。
理由② 支払いサイトが長い=ファクタリングの効果が大きい
支払いサイトが30日の業種と90日の卸売業では、資金が拘束される期間が3倍違います。ファクタリングで90日分の待ち時間を即日に短縮できれば、その効果は30日サイトの業種の3倍です。支払いサイトが長い卸売業ほど、ファクタリングの資金繰り改善効果は大きくなります。
理由③ 借入枠を温存できる
ファクタリングは負債にならないため、銀行融資やビジネスローンの借入枠を使いません。「通常月はファクタリングで仕入れ資金をつなぎ、大きな設備投資が必要なときだけ銀行融資を使う」という組み合わせが可能になります。借入枠を温存できることは、卸売業の経営において大きな安全弁です。
注意点:ファクタリング利用時に気をつけること
手数料の「総コスト」を必ず確認する
見積もり段階で「手数料○%」とだけ提示する会社がありますが、別途「事務手数料」「審査料」「振込手数料」などが上乗せされるケースがあります。見積もり時に「差し引かれるすべての費用の合計額」を書面で確認してください。
極端に低い手数料を提示する業者への警戒
「手数料1%以下」のように相場を大幅に下回る数字を提示する業者には注意が必要です。ファクタリングを装って実質的な貸付を行う違法業者も存在します。「売掛金の買戻し義務がある」「償還請求権がある」と契約書に記載されている場合は、それはファクタリングではなく貸付である可能性があります。
二重譲渡は絶対にNG
同じ売掛金を複数のファクタリング会社に売却する「二重譲渡」は詐欺行為に該当します。発覚した場合は契約の即時解除と損害賠償請求を受ける可能性があります。絶対に行わないでください。
よくある質問(FAQ)
Q. ファクタリングの手数料はビジネスローンの金利より高くないですか?
単純な料率比較ではファクタリングの方が高く見える場合があります。しかしビジネスローンの金利は返済完了まで毎月かかり続けるのに対し、ファクタリングの手数料は一回きりです。さらにファクタリングは負債にならず銀行融資にも影響しないため、将来的な資金調達コストまで含めるとファクタリングの方が総コストが低くなるケースが多くあります。
Q. 赤字決算でもファクタリングは使えますか?
はい。ファクタリングの審査は売掛先の信用力を重視するため、自社が赤字でも利用できます。売掛先が大手企業や自治体であれば審査通過率は80〜95%です。
Q. ビジネスローンを返済中でもファクタリングは利用できますか?
はい、利用できます。ファクタリングは借入ではないため、既存の借入状況に関わらず利用可能です。
Q. 取引先に知られますか?
2社間ファクタリングなら取引先への通知は不要です。大手スーパーやメーカーとの取引関係を維持したまま資金調達できます。
Q. ファクタリングの手数料は経費になりますか?
はい。「売上債権売却損」の勘定科目で経費計上できます。消費税は非課税です。会計ソフトに該当科目がない場合は「雑損失」や「支払手数料」でも問題ありません。
Q. ビジネスローンの利用歴があると銀行融資に通りませんか?
必ずしも通らないわけではありませんが、ノンバンクからの借入履歴は銀行の融資審査でマイナス評価になる可能性があります。完済してからの申し込みが理想です。ファクタリングを活用してビジネスローンを早期完済し、貸借対照表を改善したうえで銀行に相談するのが最も有利な流れです。
まとめ:卸売業のビジネスローン脱却ロードマップ
今日やること
自社の売掛金を一覧にしてください。取引先名、売掛金額、入金予定日、取引先の規模(上場・大手・中小)をリスト化します。大手取引先の売掛金があれば、ファクタリングの最有力候補です。
今週やること
ファクタリング会社3社以上に見積もりを依頼します。同じ売掛金でも会社によって手数料に幅があるため、相見積もりは必須です。あわせて、現在ビジネスローンを利用中の場合は残高と金利を確認し、ファクタリング切り替えで完済可能か試算してください。
今月やること
ファクタリングを1回実行し、申し込みから入金までの流れを体験します。手数料率、入金スピード、対応品質を実際に確認することが重要です。問題がなければ、ビジネスローンの繰上返済を進めます。
3か月後の目標
ビジネスローンを完済し、負債をゼロにします。貸借対照表が改善した状態で銀行に融資を相談。年利1〜3%の運転資金融資を獲得できれば、ファクタリングの利用頻度も下げられます。最終的には**「銀行融資をメイン、ファクタリングは緊急時のサブ」**という体制が、卸売業の資金繰りにおけるベストな着地点です。



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